東海幹線道路調査事務所のインタビューで武蔵工業大学中村英夫学長がこう述べています。
ドイツの道が良いとよく言われますが、私は、ドイツの道で良いのは一般道路だと思います。どこかへ行こうとする場合に、一般道路にするか高速道路を使うかという選択ができるくらい一般道路の質が高いのです。それに対して日本の場合、一般道路の質がまだ高くありません。
したがって、これから大切なのは、はじめから高速道路ありきではなく、一般道路を高速道路と変わらない質の高いものに改善しながら、道路全体としてのサービスを向上させていくことです。中部地方の三遠南信自動車道では、このような取り組みが進められていて結構だと思います。
ドイツの一般道路は確かに高規格です。ですがドイツと日本の環境には大きな違いがあります。ドイツにおいて国道クラスの一般道路は確かに100km/hまでが許容されていますが、100km/h制限区間は村と村の間の牧草・森林地帯となっており住環境に与える影響がほとんど無いことが寄与しています。国道の100km/h区間で住居を建設する場合は自分で防音壁を作ることが条件となっており、これがむやみなスプロール現象の防止と既存住環境を守るのに役立っています。ドイツの国道も住宅地では40km/hなどかなりの低速に規制されているからです。
日本では第二東名や湾岸道をはじめ高規格の主要幹線道路がようやく国内に張り巡らされるようになりました。これからは一般道という中村氏の主張ももちろんわかります。ですが、日本の平野部はドイツなどとは違って住宅に埋め尽くされていることがほとんどです。これではせっかく高規格な道路を作っても環境問題により100km/h制限はもとより80km/h制限に設定することも難しくなってしまいます。
自動車の環境問題については、以下のような事項が知られています。
- 温室効果ガス排出
- 騒音問題
- NOxなどの微粒子物質排出
このうち騒音問題については防音壁やトンネルなどである程度解決する事ができますが、他の2つには根本的かつ現実的な解決策は提案されていません。
実際新幹線車両では防音壁やパンタグラフの削減、編成間給電など最新の技術により270km/h走行では規定値を大幅に下回る騒音の車両が出ています。ドイツやフランスは騒音問題が安易に解決できるため300km/h以上での走行が当然のように行われていますが、日本で2010年まで320km/h運転が行われないのもここに理由があります。
騒音問題に加えて温室効果ガスや微粒子物質排出に対し、我々はどのような解決をはかるべきでしょうか。
確かに道路はまだ必要だと思います。しかし、道路が建設される度に課題は増加しているとも感じます。

